タイトル:極東見聞録
作者:佐藤研一朗
極東見聞録
佐藤研一朗
前書き
心配せずに行こうよ
僕らの子供たちは、きっといい時代を生きる。あんまり心配せずに行こうよ。
世界中の人々が自分の行きたい場所に行き。自分の生きたい場所で生きる。そんな時代がやってくる。
みんなが、もっとたくさんの言葉を普通に話して、世界中の人々と楽しくおしゃべりができる時代が来る。
その土地、その土地の、文化や風習を、大切に思う、そんな気持ちをみんな受け入れるよ。
他人の信仰や信念に、もっと耳を傾けるようになるさ。
世界中のみんなが、もっと親切になるだろう。
もちろん、すべての問題がなくなるわけじゃない。それでもお互いに憎しみ合うより、助けあって生きていこうと、みんなが思うようになるよ。
一人一人が、みんな自分の商売を持つような時代がやってくる。
それで、商売はますます繁盛する。生産性も上がって、ずっと儲かるようになるさ。
世界中の人が、あなたのお客さんだ。商売をとおして、みんなの助け合う。だから、知らず知らずのうちに、世界のみんなと、心が通じ合うようになる。
もちろん、それは完璧ではないけれど、何億人という起業家が、世界をよりよくするために一生懸命働くさ。
国境は、日に日に意味を失い、ただの色あせた地図の上の線になるよ。
役人は、人々を殺したり、スパイしたり、貶めたり、そんなことはしなくなる。
もちろん、武器は無くならないだろうけど、戦争ばかりやって、限られた資源を無駄にしたりはしない。
外国の役場と対立を煽ったりしないで、本当に人々を助けるためにサービスの向上に努めるよ。
税金なんかは、なくなってしまう。
みんなの善意の寄付によって役場は成り立つ。みんなからの寄付をため、その資産を運用して、役場は運営される。
税金も役場の借金もなくなる。お金を刷り散らし続ける中央銀行もなくなる。役場は、無駄使いなんて、しなくなる。
お金には、裏づけができる。安定し、誠実になる。
それでいて、指を動かすだけで、何の障害もなく、一瞬で、世界中を駆け回るようになる。
誠実なお金の台頭のおかげで、役場が発行している紙切れ紙幣は、競争に敗れて消えていく。
紙切れ紙幣に依存から抜けられず、無理なリバレッチをかけられなくなって、みんなのお金でギャンブルをやっている銀行屋たちは、軒並み倒産していなくってしまう。
中央銀行もなくなる。金利が人為的に操作されなくなって、金融は安定する。バブルと不況の波は過去のものになる。
何千万という非営利団体が、多種多様な公共サービスを、必要に応じて提供するようになるさ。
役場と、非営利団体は、対等な土俵で、常に切磋琢磨する。それで公共サービスの質は劇的に向上するようになるよ。
税金がないから、みんな手元には、たくさんお金が残るようになる。だから自分たちの生活を向上させることができる。
みんな余裕があるから、世の中をさらに発展させる、困っている人を助ける商売に、賢く投資することもできる。
もちろん、すべての問題がなくなるわけじゃない。
でも、みんなが、不平不満を口にして、役場に問題解決を求めるなんてことはしない。
社会の問題を、税金で、他人に強制して、解決できるなんて、勘違いしたりしない。
世界中の社会起業が、みんなを啓蒙し、問題をうったえて、みんなから募金でお金を集めてくる。
そして、本当に問題を解決する。社会起業家はみんなの憧れになる。
技術はさらに進歩し、今、解決不可能だと考えられていた問題をどんどん解決する。
温暖化も、ピークオイルも、技術が解決する。
さらに多くの人々が、豊かに、快適に、暮らせるようになる。それでいて、自分たちが生きている環境を、犠牲にすることもない。
もちろん、すべての問題がなくなるわけじゃない。でも、技術者たちは、常に社会の問題を解決策を、生み出し続ける。
僕らの子供たちは、世界中にもっとたくさんの友達を作り、家族のように付き合う。
喜んで、世界中を駆け回り、旅行をして、仕事をして、恋をして、ボランティアをする。
僕らの子供たちは、人類の長い歩みを、深く理解するようになる。
そして無数の先人の努力のおかげで、自分たちが存在し、自由に生きれることを常に感謝する。
成功した人をうらやんで、不平を言う代わりに、成功者の努力をたたえ、自らも成功しようとする。
心配せずに行こうよ。
明るい未来が待っているよ。自分たちで、いい世の中を作っていこうよ。
絶対、できるはずなんだ、僕はそう信じてるよ。
みんなは、どう思うか、わからないけど、そう思ってくれたら、嬉しいよ。
恐怖、雑音、プロパガンダが未だに溢れているけれど。
巨大な吸血マシーンは、少しずつタイタニックのように沈んでいく。
僕らの夢は地平線の彼方、でも美しい朝焼けだ。
心配せずに行こうよ。明日はきっと素敵な日だ。
心配せずに行こうよ。僕らが明日をいい日にするんだから。
2015年12月10日 東京へ向かう上空で
佐藤研一朗